訪問看護でよくある「点滴のプレッシャー」
訪問看護の現場では、脱水状態の利用者さんに対応することがよくあります。
特に、食事や水分がうまく取れない高齢の方にとっては、点滴が命をつなぐ大事な手段となることも。
だからこそ、訪問看護師にとって「点滴」は、重要でありながらもプレッシャーを感じるケアの一つです。
今回は、私が実際に聞いたエピソードの中で、訪問看護師3ヵ月目だったSさんが経験した、点滴にまつわる心温まるお話をご紹介します。
点滴に対するプレッシャーが大きい理由
訪問看護では、病院のように他のスタッフにバトンタッチできないこともあります。
「自分が何とかしないといけない」と思ってしまいがちです。
特に、まだ経験が浅い看護師さんにとっては、血管確保がうまくいかないと、どんどん焦りが増してしまいます。
高齢の利用者さんは、もともと血管が細く、見えづらかったり、触れづらかったりします。
そこに脱水の影響が加わると、さらに血管が見えなくなり、点滴のルート確保は一気に難しくなってしまいます。
そんなとき、温罨法(おんあんぽう)や部位を変えるなど、あらゆる手を尽くしても「入らない」ことは、実際によくあるのです。
Sさんが経験した、忘れられない場面
その日、Sさんは脱水の利用者さんのために点滴を行う予定でした。
まだ訪問看護師として働き始めて3ヵ月。
病棟での点滴経験はあるものの、一人で訪問先で行うのは、また違う緊張感があったそうです。

「この方には点滴が必要」
「なんとかルートを取らなきゃ」
そう思えば思うほど、手が震え、血管は見つからず、どんどん自信をなくしていきました。
何度かトライしても血管にうまく刺さらず、心も体も疲弊してしまっていたといいます。
救いの一言と温かい飲み物
そんな時、利用者さんのご家族がSさんの様子を見て、こう声をかけてくれたそうです。

「ちょっと、休憩しませんか?」
その言葉に、Sさんは思わず「はっ」としたと話してくれました。
そして、ご家族が出してくれた温かいお茶を飲みながら、深呼吸をして数分間だけ気持ちをリセット。
ほんの少し気持ちが落ち着いた状態で、もう一度チャレンジすると、不思議なくらいスムーズに血管が浮き出て、ルートの確保に成功したのです。
緊張でうまくいかないこともある
Sさんが話してくれたように、「焦り」や「緊張」は、看護の技術に大きな影響を与えます。
普段できていることが、できなくなってしまうのは決して珍しいことではありません。
特に訪問看護の現場では、慣れない環境や一人での対応など、さまざまな不安要素があります。
そういう時こそ、無理に頑張り続けるのではなく、一度立ち止まることがとても大切なのです。
「切り替え」がもたらす力
今回のSさんのように、少し気持ちを切り替えるだけで、うまくいくことがあります。
温かい飲み物を飲む、ゆっくり深呼吸する、先に他のケアを行ってみるなど、自分なりのリセット方法を見つけておくと安心です。
また、一人で抱え込まず、事業所のスタッフや上司に相談するのも忘れずに。
「訪問看護ステーションまるっとけあ」では、そんな悩みを話しやすい環境づくりを大切にしています。
現場でプレッシャーを感じてしまうのは、真剣に向き合っている証拠。
だからこそ、一歩引いて自分の心をいたわることも、看護の大切な一部だと思います。
経験はすべて、糧になる
Sさんは、今では自信を持って点滴対応を行えるようになっています。
当時の経験を振り返りながら、「あの時、ご家族の声かけがなかったら、もっと落ち込んでいたと思う」と語っていました。
そして「今、同じように悩んでいる新人さんにこそ、私の経験を伝えたい」と話してくれました。
訪問看護は、失敗や不安を抱えながら成長していく仕事です。
それを受け止めて、次に活かしていくことができれば、それだけで十分素敵な看護師です。
あなたも、自分自身のペースで一歩ずつ進んでくださいね。
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