訪問看護計画書とは?
訪問看護計画書とは、ご本人にどんな看護を提供するのかを具体的に示した「看護ケアの設計図」のようなものです。
ご本人の健康状態や生活の希望に合わせて、どのような看護を、どんな目標のもとで行っていくのかを記載します。
病院のような医療施設ではなく、自宅という生活の場でケアを行う訪問看護では、この計画書がチームの共通認識になり、看護の質を支える大切な役割を担っています。
もうひとつ大きな特徴は、この計画書が「ご本人やご家族にも見せるもの」だということです。
専門職だけでやり取りする病院の看護計画とは違い、訪問看護では、ご本人やご家族に内容を説明し、同意をいただく必要があります。
そのため、専門的な視点と同時に、わかりやすい言葉や表現で伝える工夫も求められるのです。
計画書を作る前に確認する2つの書類
訪問看護計画書は、いきなり白紙に向かって書くものではありません。
まずは、次の2つの書類をしっかり確認することから始まります。
1. 訪問看護指示書(主治医からの指示)
主治医が発行する訪問看護指示書には、その方に必要な医療的ケアが具体的に書かれています。
たとえば、
- 酸素療法の有無と流量
- 点滴の種類や頻度
- 褥瘡ケアや処置の内容
など、医師の判断に基づいた内容が明記されています。
訪問看護は、この指示書があってはじめて動くことができます。
計画書も、この指示に沿った看護を考えていくことになります。
2. 居宅サービス計画書(ケアマネが作るケアプラン)
ケアプランは、ケアマネージャーが作成する介護全体の計画書です。
その方の生活に必要なサービスがどのタイミングで、どれくらいの頻度で提供されるかが整理されています。
訪問看護も、このケアプランの中に含まれており、訪問頻度や役割が明確にされています。
他のサービスとの調整も含めて、ケア全体の流れを確認するうえで欠かせない書類です。
計画書を書くときに意識していること
できるだけ、やさしく伝える
訪問看護計画書は、ご本人やご家族にご説明し、同意をいただくものです。
そのため、医療者だけが理解できるような専門用語ではなく、
だれにでも伝わる表現を選ぶことがとても大切です。
たとえば、
- 「疼痛コントロール」→「痛みをやわらげるケア」
- 「ADLの低下」→「日常生活が少しずつ大変になってきた」
といったように、やさしく言い換えることで、不安や誤解を防ぐことができます。
気持ちへの配慮も忘れずに
ターミナル期の方や、認知症がある方の場合、言葉の選び方ひとつで印象が大きく変わります。
「末期」や「進行性」などの言葉は避け、「安心して過ごせるように」「ご本人の思いを大切にしながら」といった表現を意識しています。
ケアの内容だけでなく、「どう伝えるか」も、訪問看護の大事な仕事のひとつだと思っています。
看護の視点を持ちながら、その人らしさを考える
目標を立てるときには、単なる医学的ゴールだけではなく、「この方がどんな生活を望んでいるか」を軸にするようにしています。
たとえば、
- 「痛みが落ち着き、いつものように家で過ごせる」
- 「なるべく自分の力でトイレに行けるように支援する」
など、その方の「日常のかたち」に寄り添った目標を立てるようにしています。
計画書作成の基本の流れ
実際に計画書を作るときの流れは、こんな感じです。
- 訪問看護指示書とケアプランを確認
- ご本人・ご家族から希望や不安を聞く
- 目標を立てて、それに向けたケアを考える
- 具体的な内容と評価の方法を書く
- 説明・共有し、同意を得る
一度書いて終わりではなく、訪問を重ねながら、必要に応じて見直していくものです。
計画書を「形にする」ということ
訪問看護計画書は、単なる“看護の記録”ではなく、その方の暮らしに看護師としてどう関わっていくかを示す、ひとつの「約束」だと思っています。
言葉のひとつひとつに、ご本人やご家族の目が向けられるからこそ、伝わる表現と、あたたかい視点が欠かせません。
「難しいな…」と思うこともあるけれど、その分だけ、看護師としての視点と気持ちが反映される、大切な書類だと感じています。
患者さんそれぞれの生活に寄り添う一枚として、これからも丁寧に書いていきたいと思います。
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